歯の神経を抜くなら知っておきたい!歯の10年生存率、長持ち4条件

「歯の神経の治療」あるいは「歯の根の治療」などといわれる“根管治療”は、歯の寿命を左右するような、とても大きな影響を持つ治療として知っている方も多いでしょう。

では、根管治療をした歯の寿命、だいたいどのくらいか分かりますか?

このページでは、最新の報告をもとに、根管治療後の歯の予後についてお話しします。

歯の寿命に大きな影響を与える根管治療の「新しい価値」をシェアして、歯科医も患者さんも、治療方針の決定に役立てて下さい!

根管治療の成功率は?

根管治療の成功率については多数の報告があります。

356人の歯の予後を8~10年観察したスウェーデンの研究によると、根管治療の成功率は全体で91%、術前に根尖病変(根の先の膿などの炎症性の病変)のない症例では96~100%、根尖病変のある症例では成功率が86%であり、根尖病変のある再根管治療(根管治療のやり直し)の症例で、成功率は最も低く62%だったと報告しています(Sjogren, 1990)。

また、最近のシステマティックレビューでは、再根管治療の成功率を77%と報告しています(Ng, 2008)。

根管治療後10年の成功率

  • 根尖病変がない根管治療の成功率は、 90% 以上
  • 根尖病変がある再根管治療の成功率は、 70%程度

根管治療後の歯の生存率は?

根管治療後に何の症状もなく機能していても、X線画像で根尖病変がなくならない場合は、「根管治療の成功」とはされません。

治療方針の決定には、成功率とは別に歯の生存率についても知っておく必要があります。

米国の113万人146万歯を対象とした調査では、根管治療後8年の歯の生存率は97%でした。再治療や抜歯を含む外科治療が必要になったのは3%で、そのほとんどが初回の根管治療から3年以内に有害事象が発生していました。

抜歯となった歯の85%は、全部被覆冠(いわゆる詰め物ではなく、被せ物)がされておらず、被覆冠の無い歯は有る歯に比べて5倍も抜歯になるリスクが高かったと報告されています(Salehrabi, 2004)。

最近のシステマティックレビューでは、根管治療後2~10年での歯の生存率は86~93%と報告されています(Ng, 2010)。

根管治療後の予後

  • 根管治療後の歯の10年生存率は、90% 程度
  • 再治療が必要になるのは、ほとんどが治療後3年以内
  • 根管治療後は、被せ物にしないと、抜歯リスクが5倍高い

根管治療後の歯を長持ちさせる4条件

歯の生存率を報告した上記のレビューではさらに、歯の生存率の向上に関係した条件として、前述の被覆冠で修復すること、に加えて、前後に隣接して歯があること、ブリッジや入れ歯などの支台となっていないこと、臼歯ではないこと、などを挙げています。

根管治療後の歯を長持ちさせる4条件

  1. 被覆冠で修復する
  2. 前後に隣接して歯がある
  3. ブリッジや入れ歯などの支台となっていない
  4. 臼歯ではない

根管治療をするときは、歯の生存率をよく考えて、治療方針をよく相談して決めましょう!

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参考

  • 澤田則宏:総説 根管治療の成功率、日本歯科先端技術研究所学術会誌、2013
  • Sjogren U, Hagglund B, Sundqvist G, Wing K.: Factors affecting the long-term results of endodontic treatment., J Endod. 1990 Oct;16(10):498-504.
  • Bergenholtz G, Lekholm U, Milthon R, Heden G, Odesj? B, Engstr?m B.: Retreatment of endodontic fillings., Scand J Dent Res. 1979 Jun;87(3):217-24.
  • Ng YL, Mann V, Gulabivala K.: Outcome of secondary root canal treatment: a systematic review of the literature, Int Endod J. 2008 Dec;41(12):1026-46.
  • Salehrabi R, Rotstein I.: Endodontic treatment outcomes in a large patient population in the USA: an epidemiological study., J Endod. 2004 Dec;30(12):846-50.
  • Ng YL, Mann V, Gulabivala K.: Tooth survival following non-surgical root canal treatment: a systematic review of the literature., Int Endod J. 2010 Mar;43(3):171-89.

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歯太郎

歯太郎

歯科医師、歯学博士、口腔外科認定医、インフェクションコントロールドクター、そして息子たちのパパ。