30代、40代にもなると、お腹がポッコリしやすくなりますよね?
それって、「メタボ」じゃありませんか?
内蔵肥満に、高血圧、高血糖などが組み合わさり、心臓病や脳卒中などをまねきやすい病態を「メタボリックシンドローム」といいますが、このメタボリックシンドローム、残っている歯の数(残存歯数)と関連する可能性があることが、歯科学会誌「J Clin Periodontol」に発表されました。
メタボリックシンドロームとは?
内蔵肥満に、高血圧、高血糖、脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患の危険性が髙くなった病態を整理した概念として、「メタボリックシンドローム」があります。
あなたは大丈夫? メタボリックシンドロームの診断基準
日本人の40~70歳の男性2人に1人、女性5人に1人が、メタボリックシンドロームだといわれています。
WHOや米国と日本とで、メタボリックシンドロームの診断基準は異なりますが、日本の診断基準は下記のようになります。
メタボリックシンドロームの診断基準(2005)
・ 必須項目 | (内臓脂肪蓄積) ウエスト周囲径* |
男性 ≥ 85cm 女性 ≥ 90cm |
---|---|---|
・ 選択項目:下記2項目以上 | – | – |
1. | 高トリグリセリド血症 かつ/または 低HDLコレステロール血症 |
≥ 150mg/dL < 40mg/dL |
2. | 収縮期(最大)血圧 かつ/または 拡張期(最小)血圧 |
≥ 130mmHg ≥ 85mmHg |
3. | 空腹時高血糖 | ≥ 110mg/dL |
メタボ、高血圧、高血糖は、残存歯数と関連
論文ななめよみ
米国全国健康・栄養調査2005~2008の横断面データから、5511人の成人を、残存歯数(智歯を含まない)に応じて4つのグループ(28歯、21-27歯、1-20歯、0歯)に分け、メタボリックシンドロームの判定(AHA/NHLBIの診断基準)を行った。
歯の欠損は、メタボリックシンドロームと有意に関連し(P=0.002)、歯の欠損が多いほど、メタボリックシンドロームのリスクが高かった。
さらに、BMI、胴囲、血圧、空腹時血漿グルコース、インスリン濃度のすべては、残存歯数と逆相関の関係があり(P<0.01)、HDLコレステロールは残存歯数と相関関係にあった。
原著論文はこちら
Zhu Y, et al. J Clin Periodontol. 2015 Feb;42(2):113-20.
編集後記
歯の数が少ないほど、メタボや、高血糖、高血圧症、高脂血症のリスクが高い結果が示されました。
残っている歯の数(残存歯数)は、生活習慣病である歯周病のサロゲートマーカーとされているので、メタボ、高血圧症、高血糖、高脂血症などは、歯周病と関連しているといってよいでしょう。
まずは、毎日の口腔ケア習慣を見直し、歯周病を予防して、その他の生活習慣病にも気を付けましょう!