虫歯の予防薬「フッ素歯磨き粉」の効果を最大化する8つの習慣

フッ化物配合の歯磨剤(以下、フッ素歯磨き粉)は、虫歯予防効果がとっても高いんです。

今回は、フッ素歯磨き粉の効果と、その上手な使い方について、ご紹介します。

虫歯予防の効果は?

フッ素歯磨き粉の虫歯予防効果は、世界的に報告があり、だいたい 30~40%!

特に、高齢者に多い、「歯の根のまわりの虫歯(根面う蝕)」については、なんと約70%という高い予防効果が報告されているんです。

また、乳歯では、フッ素歯磨き粉とフッ化物歯面塗布を併用すると、歯面塗布だけの場合に比べて、乳歯の虫歯が65% 少なかったという報告もあります。

フッ素歯磨き粉は、ハッキリ言って、虫歯の予防効果が高いんです。

フッ素歯磨き粉は、虫歯予防の根幹

フッ素による虫歯予防効果は、科学的に認められていて、アメリカやカナダ、オーストラリア、フランスなどなど、世界的には多くの国で、水道水や食塩に、いわゆるフッ素を入れて、全身的に虫歯予防に取り組んでいます。

日本では、そうした取り組みはなく、フッ素歯磨き粉の使用や、フッ化物歯面塗布、フッ化物洗口という、局所的用法しかありません。したがって、日本では、フッ素歯磨き粉は、虫歯予防の根幹であり、毎日コツコツ手軽に使える大切な「虫歯の予防薬」といっても過言ではありません!

フッ化物配合かチェック!

現在、日本で市販されている、歯磨き粉の約90%は、フッ素歯磨き粉です。歯磨き粉の成分表示に、以下の3つのフッ化物のいずれかが含まれていれば、フッ素歯磨き粉です。

今、あなたがお使いの歯磨き粉は、どうでしょうか?

3つのフッ化物、どれか入ってる?

  1. モノフルオロリン酸ナトリウム (MFP)
  2. フッ化ナトリウム (NaF)
  3. フッ化第一スズ (SnF2)

3つのフッ化物の主な特徴を下に示します。フッ化物の「使い分け」については、いろいろと議論されていますが、現状ではコレといった強い推奨はないといっていいでしょう。

3つのフッ化物の特徴

  1. モノフルオロリン酸ナトリウム: フッ化ナトリウムやフッ化スズに比べて毒性が低い。
  2. フッ化ナトリウム: 歯垢の中のフッ化物濃度を高める作用が高い。
  3. フッ化第一スズ: スズイオンによる抗菌作用で、歯垢の形成や付着を抑制する。

ちなみに、歯磨き粉の吐き出しが上手にできない小さな子供に使う場合は、毒性の低い、モノフルオロリン酸ナトリウムが勧められています。しかし、子供用のフッ素歯磨き粉で、モノフルオロリン酸ナトリウムのものは、なかなかないんです!

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フッ素歯磨き粉の濃度

フッ素歯磨き粉の虫歯予防効果は、フッ化物イオンの濃度に依存します。1,000 ppm以上の濃度では、500 ppm高くなるごとに予防効果が6%アップするとされています。しかし、500 ppm未満では虫歯予防の効果は明らかにされていません。

日本では承認基準で、フッ化物イオン濃度は1,000 ppm以下に定められています。そのためほとんどの市販の歯磨き粉が950 ppm程度のフッ化物イオン濃度です。

(注)2017年3月に、国際基準と同様にフッ素が1500ppmを上限として配合された歯磨き粉の販売が認められました‬。

ほんの一部で、まだ吐き出しができない低年齢児用として、500 ppm程度の歯磨き粉も販売されてはいます。しかし、実際には、フッ化物イオン濃度の表示義務がないため、年齢に適したフッ素歯磨き粉の選択は困難なのが実情です。

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0~2歳は、500 ppm

見た目の問題となり得る上の前歯が「歯のフッ素症※」にかかりやすい時期は、1歳から3歳の間です。この時期は、フッ化物の摂取が過量にならないように注意が必要です。

※歯のフッ素症

フッ化物の過剰摂取により、歯に褐色の斑点や染みができる症状

しかし、日本ではフッ化物の全身応用がまったく実施されていないので、フッ素歯磨き粉によるフッ化物の過剰摂取については、過度な心配は不要でしょう。

むしろ、歯が生えたらすぐに、500 ppm のフッ素歯磨き粉を積極的に使うよう推奨されています。スエーデンなどの北欧諸国やイギリスでは、歯の生えたばかりの6か月~2歳までのフッ素歯磨き粉について、ずいぶん前から 500 ppmを推奨しています。 

フッ素歯磨き粉の適量

フッ素歯磨き粉を、「虫歯の予防薬」として使うには、適量があります。ざっくりいえば、ペーストタイプのフッ素歯磨き粉で、「子供は年齢×1mm、大人はたっぷり2cm」です。

フッ素歯磨き粉の年齢別応用量を以下に示します(下表)。

フッ素歯磨き粉の年齢別応用量

年齢 ペースト使用量 フッ化物濃度
6か月~2歳 切った爪程度の
少量

500 ppm (泡状では1,000 ppm)

3歳~5歳 5mm 以下

500 ppm (泡状またはMFPでは1,000 ppm)

6歳~14歳 1cm 程度 1,000 ppm
15歳以上 2cm 程度 1,000 ppm

(フッ化物応用研究会編:う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤応用マニュアル.社会保険研究所,2006.改変)

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「フッ素歯磨き粉」の安全性

フッ素の毒性について、一部でさまざまな意見もありますが、フッ素は、そもそも、魚や肉、野菜など、さまざまな食品に含まれています。

フッ素歯磨き粉は、用法に従って使用すれば、急性、慢性中毒ともに問題ないと考えられており、虫歯の予防薬として安全に使えると考えてよいでしょう。念のため、以下に歯磨き粉中のフッ素の量と中毒量を示します。

  • フッ素歯磨き粉中のフッ素の量

歯磨き粉の

フッ素濃度

歯磨き粉中のフッ素量

(1本60 gの場合)

1回当たりの歯磨き粉の量(米粒大/小豆大)に対する

フッ素の量

500 ppm 30 mg(F) 0.05 mg(F)未満/0.05~0.1 mg(F)
1,000 ppm 60 mg(F)

0.1 mg(F)未満/0.1~0.2 mg(F)

  • 急性中毒量: 5 mg(F)/kg(体重)  → 1歳児(体重10 kg)では50 mg(F)
  • 慢性中毒(歯のフッ素症)を認めた最少摂取量: 0.1 mg(F)/kg(体重)/day  → 1歳児(体重10kg)では1日1mg(F)

通常使用では、中毒はない!

  • 急性中毒を考えるのは、歯磨き粉のチューブ1本分を食べてしまった場合。
  • 米粒大や小豆大のフッ素歯磨き粉の使用量では、慢性中毒(歯のフッ素症)の心配はない。

うがいは、10ml ×1回

フッ素歯磨き粉は、できるだけ長く口の中に留めて、虫歯の予防薬として効果的に働かせることが大切です。ですから、何度もうがいしたり、ブラッシング後に水を飲んだりしては、虫歯予防の効果は、下がってしまいます。

うがいは、10 ml 程度の少量の水で、1回だけで十分です!

ちなみに、10m lは、小さじ2杯、、、少ないんですよ!

寝る前の使用が、ピンチをチャンスにする

寝ている間は、唾液が減り、虫歯ができやすいんです。

しかし、ピンチはチャンス!寝る前に、虫歯の予防薬「フッ素歯磨き粉」を使って、しっかりブラッシングすることで、寝ている時間帯を、「フッ素を口の中に長くとどめるチャンスタイム」に変えちゃいましょう!

効果を最大化する8つの習慣

フッ素歯磨き粉8つの習慣

(う蝕予防の実際 フッ化物局所応用 実施マニュアル. 2017)

  1. 「子供は年齢×1mm、大人はたっぷり2cm」のフッ素歯磨き粉を使う
  2. フッ素歯磨き粉を上下の歯全体に広げる
  3. 少なくとも2~3分間、泡立ちを保つようにみがく
  4. フッ素歯磨き粉を口から出す(加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを補助的に使う)
  5. 約10ml(小さじ2杯)の水を口に含むく
  6. 5秒程度ブクブクうがいをする
  7. うがいは、1回だけ!
  8. 1~2時間は、飲食をしない

参考文献

  • 日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会編:う蝕予防の実際 フッ化物局所応用 実施マニュアル. 社会保険研究所,東京,2017.
  • WHO expert committee on oral health status and fluo-ride use著,高江洲義矩,眞木吉信,杉原直樹,古賀 寛 訳:フッ化物と口腔保健41~45,WHO,(Technical Re-port Series No.846),一世出版,東京,2000.
  • フッ化物応用研究会編:う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤応用マニュアル.社会保険研究所,東京,2006.
  • 日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会編:フッ化物応用の科学.口腔保健協会,2010;84-92.