5分で分かる歯科医院の抗菌薬の処方例

人類の健康のため、やめよう!フロモックス、メイアクト、セフゾン、トミロン、バナン!

今回は、インフェクションコントロールドクターの筆者が、ガイドラインをもとに、超簡単に、歯科医院で使う治療抗菌薬の処方例をまとめました。

歯周組織炎・歯冠周囲炎の治療

歯科医院でみる感染症は、主に歯周組織炎、歯冠周囲炎です。

抗菌薬を使う前に大事なことは、以下の2つです。

  1. 膿瘍がある場合は、切開などの外科処置を行う
  2. 想定される主な起炎菌を考える(主に、口腔レンサ球菌)

抗菌薬を使う必要があるなら、アレルギーの有無を確認し、ペニシリンアレルギーがなければ、第1選択は、アモキシシリンです。

第1選択:アモキシシリン

アモキシシリン(サワシリン®️、パセトシン®️、アモリン®️)、1回 250mg を1日3回服用

※小児:1回10〜15mg/kg を1日3回

メモ:

  • ペニシリンによるアナフィラキシー反応が生じる可能性は、0.01~0.05%程度。
  • EBウイルス感染があれば、ほぼ100%皮疹を生じる。
  • 経口避妊薬の効果が減弱する恐れがあり、併用は注意が必要。
  • 平均的な5歳の体重は17kg を超えるので、成人量と変わらなくなる。
  • 妊婦・授乳婦の安全性:妊婦カテゴリーB(ヒトでの危険性の証拠はない)

第2選択:クリンダマイシン

ペニシリンアレルギーがあり、「大腸炎の既往」がない場合、アモキシシリンの代替薬(第2選択薬)として、クリンダマイシン(ダラシン®️)、1回 150mg を6時間ごとに服用

※小児:1日15mg/kg を1日3〜4回

メモ:

  • 注意すべき副作用は、下痢。大腸炎の既往があれば、慎重投与。
  • 肝代謝であり、重度の肝機能障害では、通常投与量の半分を使用。
  • 妊婦・授乳婦の安全性:妊婦カテゴリーB(ヒトでの危険性の証拠はない)

第3選択:アジスロマイシン

ペニシリンアレルギーがあり、かつクリンダマイシンが使いにくい状況で、アモキシシリンの代替薬(第3選択薬)として、アジスロマイシン(ジスロマック®️)、1回 500mg を1日1回3日間 服用

※小児は歯科適応なし

メモ:

  • 食事により吸収が減少するので、服用は空腹時が良い。
  • 腎機能や肝機能による投与量の変更は不要。
  • 抗菌スペクトラムが漠然と広いが、嫌気性菌には有効でない。
  • 妊婦・授乳婦の安全性:妊婦カテゴリーB(ヒトでの危険性の証拠はない)

効果判定は3日、投与期間は1週間

外科処置の追加を検討しながら、治療効果判定の目安は3日。「悪くなっていなければ、良くなっている」と考えてOKです。

アモキシシリンやクリンダマイシンの投与期間は概ね1週間(米国歯周病学会では概ね8日間程度)。

炎症が強く、開口障害や嚥下障害を伴う場合は、入院加療も検討です。

処方例まとめ

  1. サワシリン®️カプセル250mg、1回250mg、1日3回、3日分(3日ごとに1週間程度まで追加)
  2. ペニシリンアレルギーの場合、
    ダラシン®️カプセル150mg、1回300mg、6時間ごと、3日分(3日ごとに1週間程度まで追加)
  3. ペニシリンアレルギーかつ、クリンダマイシンが使いにくい場合、
    ジスロマック®️錠250mg、1回500mg、1日1回食間がベター(食事の前後2時間は間隔を開けたい)、3日分

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参考

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歯痛ブック編集長、歯科医師、歯学博士、口腔外科認定医、ICD(インフェクションコントロールドクター)、そして父。#働き方 #テクノロジー #電動歯ブラシ #抗菌薬 に興味があります。趣味はリツイート。